壁紙と壁画：装飾が展示品に

swissQprint本社の敷地は風通しがよく、明るく設計されています。オーナーの一人は「白い壁が多いので、デジタルプリント技術を使って装飾することは当然のことでした」と説明します。彼のアイデアは「スイスを社内に取り入れよう」でした。社内のマーケティングサービスチームが、デザイナーと写真家の協力を得て、このクリエイティブなプロジェクトの推進を任されました。

28ヶ月の撮影期間

写真家のPaolo Vaccarielloは岩層、山脈、風景を撮影するため、何度も何度も現場に足を運びました。2年以上もの間、彼が毎日最初と最後にチェックするのは天気予報アプリでした。天候次第でとんでもない時間に家を出ることもあったほどです。また、自然の壮大なムードを写真に収めるために何日も山にこもることもありました。

「何時間も待っていると、ときどき太陽の光が差し込みますが、ほんの数分後にまた隠れてしまうこともありました」と彼は伝えます。写真は後に9×3mに拡大されることを意識し、最高の機材だけを選択、PhaseOneカメラが、スイス全土を旅する間の相棒でした。swissQprintがファインアートモード1080×1080 dpiで出力するために必要な解像度が、PhaseOneの6,000万画素により実現可能でした。

セレクションと構成

最終的に4280枚の写真が撮影されましたが、Paoloが350枚に絞り込んでからプロジェクトチームが熟考しました。「膨大な枚数の中から選ぶのは簡単なことではありませんでした」とデザイナーのAnita Schwankは振り返ります。彼女は可能な限り最高の空間効果を達成するために、画像の選択と組み合わせをサポートしました。ここで役に立ったのが壁紙のビジュアライゼーションで、壁面を完全に覆うものもあれば、部分的に覆うものもありました。同時に、Anita Schwankは壁紙を引き立たせるために、そして特定の部屋の独立したデザイン要素として、個々の画像3枚を組み合わせました。

swissQprint本社の共用スペース、廊下、オフィスを飾る壁紙

3枚組パネルの制作

この3枚組の写真用に、3つの異なるフォーマットで、黒いオイルフィニッシュの縁のMDFパネルが製作されました。各パネルはswissQprintのNyala LEDでプリントされ、壁から飛び出して見えるように裏面に土台が付けられました。組み立て用の治具と詳細な図面を基に、写真は所定の場所に掲示されました。

壁紙の制作

swissQprintのアプリケーションスペシャリストによりXXLサイズの画像が準備され、ハイグレード壁紙にプリントされました。施工時に幅を正確に合わせるためには入念な準備が不可欠でした。経験豊富なスペシャリストは次のように説明します。「ほんの0.5 mmでもずれていたら調整が必要になります。」しかし、ここではその必要はありませんでした。さらに熱く語ります。「すべてが完璧に準備されており、綿密な計画を立てました。」この図面は、アプリケーションエンジニアがRIPの組み立てガイドを使って数回クリックするだけで作成できました。

グラスファイバーで補強された高品質の壁紙が使用されたことでサイズが安定し、UVダイレクトプリントに理想的でした。施工した職人によると、クリーニングも簡単で残留物を残しません。しかし彼が最も感銘を受けたのは、端から端までの縁なしプリントの均一性でした。これは美術館の壁紙を長年手掛けてきて、すでに印象的なものをたくさん見てきた職人が言うのだから間違いありません。

MDFパネルにプリントされ、綿密にマッチングされた３枚の写真は、壁全面を引き立てます。

驚くべき結果

swissQprintのスタッフはプロジェクトチームや職人たちと同じように熱意にあふれています。「その出来栄えは見事なものです」と従業員も驚きます。CEOも非常に満足しています。「スイスに到着したお客様にスイスの魅力を伝えるだけでなく、具体的なプロジェクトのアイデアも提示できます。」木材、壁紙、その他のインテリアデザイン要素へのダイレクトプリントは、swissQprintのワイドフォーマットプリンタで可能な数多くのアプリケーションの一つに過ぎないのです。